ユングの部屋2

ドゥルガの奇跡

この絵に辿り着く前には、秘密のにじり口をくぐり抜けないといけません。
前頭葉の栓を抜いて入口を開くと、
もうひとつ別の世界の、
東京都世田谷区三軒茶屋商店街の銭湯の富士山が 見えてまいります。
 トタン屋根やブリキの屋根が集まっている狭い路地を通りぬけ、
悶々とした時を過ごした1 畳半の部屋に土足で踏み入ると、
透明で丸見えの銭湯にたどりつきます。
それは時々木箱の部屋になったり、
コインランドリーになったりとなかなか見つけにくいのでが必要です。
左に曲がり踏み切りを越えて土手を渡ると、
この絵の広場に到達します。
 ちなみにドゥルガとはインド・ヒンドゥーの女神で、
この絵では透明で大きな女性の姿をしています。

円周軌道上のホムンクルス

ホムンクルスというのは、
ゲーテの「ファウスト」に出てくる人造人間で、
フラスコの中でしか生きられません。

「シエスタおじさん」の中では、
それを精霊の歌として
「ファウスト」の最後の部分を引用しました。
マーラーが第8交響曲(一千人の交響曲)の
第2部のテキストに使用していた部分です。

もちろん、小暮はドイツ語ができるわけではないので、
専門家の協力を得て翻訳引用いたしました。

このことは近著「中学生にもわかる仏教」でも
少しだけ触れています。

もうひとつのZona Rosa

私は旅行をしたあと、
その土地の影響をまともに受けます。
メキシコ旅行のあとは、
しばらくそれらしい絵を描いていました。

たいていは「踊るアートの部屋」にあるような、
明るい色調のものが多いのですが、
これはダークサイドを描いたもの。

Zona Rosa(ソナ・ロッサ)というのは、
メキシコシティの繁華街のこと。
これはもちろん別の世界のソナ・ロッサです。

幻橙機

この絵は精神的に苦しかった時期に描いた作品です。
絵が描けなくなり、
何を表現してよいのかわからなくなったので、
仕方なく夢をキャンバスにうつす作業をはじめました。

あとで聞いたところ、それは心理学的に大変危険な行為だそうです。
なんでも自分の古い脳の皮質に入ったまま、帰れなくなるんだとか。

幸い、もとの世界に無事帰還できましたが、
1の部屋ではもっともあぶない時期に描いたものが展示されています。

このあたりの経緯は「中学生にもわかる仏教」でも
野狐禅という言葉で書いています。
興味のある方は一読いただければ嬉しいです。

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「ユングの部屋」は6部屋あります

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