シエスタおじさん

(本文から1)

おーい、シエスタおじさん
ねてばかりいないで、早く来てくれよー

みんな覚えているかい?
あのシエスタおじさんのことを……。
いつの頃だったかは忘れてしまったけど、
世界中の空に姿を現わした、
あのシエスタおじさんのことさ。
あのおじさんは、まだ空にいるのだろうか?


青空に浮かぶその人は
すべてを知っている

Floating in the sky, he knows all.

なぜだろう。涙があふれ出る。

生きることは、つらく、さびしく、そして時にすばらしい。
空に浮かぶおじさんを追うと、そんな忘れていたことが見えてくる。

この物語の主人公はあなた自身……
自分の扉を開く、すべての大人に捧げるファンタジー


(文春ネスコ刊「シエスタおじさん」の帯から)

「あ、ヤマアラシ! あれ、もしかするシエスタおじさん?」
「ほう、しばらく見かけないと思ったが、こんな所に現われるとはな」


「起きてよ、おじさん! 目覚めて、この世界を変えてくれよ!」


そのサンタクロースはトナカイでなくロバに乗っていた。
(中略)
 人を寄せつけない“マーケット”に、何でサンタクロースがいるのか……
それとも、もうこの森は“マーケット”じゃあないのか? 
ぼくはわけがわからなくなってしまった。
「ねえ……あなたはサンタクロースなの?」


シエスタおじさんはこちらの世界でも、
ときどき現われる。ときどきね。

 私がはじめてシエスタおじさんを見たのは、
まだ神父になる前のことだった。
 当時私は、まだ十八歳で、志願兵としてクリミア半島に出兵したんだ。

戦いが激しくなってからというもの、
シエスタおじさんは、ずうと激しく回転しつづけていた。
 8の字回転はもちろん、風車のように回転したり、
ある時は鳥の群れと一緒に空を飛んだりと、妙な動きをつづけていたんだ。

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